個展を振り返って、その4。インスピレーションソース、モチーフ。

あっというまに時間が過ぎていきますね。
気がつけば7月も下旬。。

暑い暑いといっているうちに、
いつのまにか秋、そして冬になるんだろうなあ。


さてさて、個展をふりかえってシリーズ。
今回は、作品のインスピレーションの源、絵のモチーフのお話です。頭の中のアイディアが、実際の絵にいたるプロセスを少し掘り下げてみたいと思います。

いつもと同じように、一番のソースは本、特に「物語」です。ですから、どの絵のタイトルも、何かしらの物語の題名をそのまま付けています。
ただ、今回は物語を読んで素直に解釈するというより、多少筋から外れても、自分のやりたいことを自由に押し出す形を取りました。その結果、下の3つの要素がぐーんと前に出てきました。

1 言葉
2 建築物
3 学者

1 言葉
言葉は私にとって、大切なインスピレーションの源泉です。
物語の成分は主に言葉です。細胞や血管のように、言葉がその宇宙を組成します。

ひとつの「文字」は、単なるタイポグラフィ的な、視覚的記号としての二次元的な要素しか持ちません。なのに、それが組み合わさったり重なり合ったりする時、突然その世界は厚みと幅を持ち始めます。感情や体温まで持ってしまうからスゴイ。

こういう感動と空間性を、今回は絵にしてみたいと思いました。

1 建築物
建築は、ここ数年自身の中でも興味のある分野です。

昔はレトロな建物が好きでしたが、今は現代建築を見て回るのが好きです。ここ数年足を使って、日本やヨーロッパで、現代建築家の作品をずいぶん見て回りました。絵よりもたくさん見てるかも(笑)

建築家がミリ単位で考え抜いて作り出した空間と、そこに流れる空気。クリエイティブな「空間」に足を運ぶ時は、私は、物語の空間に迷い込んだような錯覚に陥ります。自分では建物を建てることはできませんが、「存在しない建築物」をイメージし、可視化することも、大きなテーマのひとつだったりします。

3 学者
’学ぶこと’は、人間に与えられた機会の中で、もっとも素晴らしいものの一つだと私は思います。小さな気づきひとつが、自分の世界を広げてくれます。

学びたくても学ぶことのできない人も多くいる中、その喜びを作品に込めることは、作家として自分に与えられた役割のひとつなのではないか…と、常々思っています。

今回の作品群では、二つのタイプの人物を想定して描きました。ひとつは学者、もうひとつは徒弟です。

学者は、作家や数学者、哲学者など、言葉や数式を用いて新しい世界を構築してきた人々のメタファーとしての存在であり、もう一方の徒弟は、これから何かを学ぼうとする、無垢で清らかな、喜びと迷いに溢れた存在を象徴しています。

学び続ける限り、人間はこの両方の側面をずっと持ち合わせて生きるものなんじゃないかな、と思います。


そのほか、「実験道具」「機械」「現実と物語の裂け目」などなど、思いつくまま、いろいろな遊びの要素をプラスして制作しました。
詳しいことは、個々の作品解説でまたご紹介したいと思います。

次は、作品技法について少しお話したいと思います(^ ^)
またぜひ読んで頂けたら嬉しいです!


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