個展を振り返って、その5。画材やら技法やら。

今日は、画材と技法のお話です。
今回の個展での作品たちを、どんな画材でどんな風に制作したのか、なんとなくご紹介。

まずは画材から。これはいたって簡単で、水彩紙にアクリル絵の具、それだけです。

普段のお仕事では、銅版画、鉛筆での線画、ペン画など、必要に応じていくつかの技法を使い分けていますが、今回の個展ではアクリル着彩一本に絞りました。
アクリルとジェッソ(下地剤)の組み合わせは、やり直しがある程度きくのです。だから、あっちに行ったりこっちに来たり、試行錯誤の過程まで引っくるめてすべて絵にしたい時は、これに限ります。

色も絞りました。
前回までお話したように、今回は文字や空間を際立たせるのが最大の目的だったので、それ以外の要素は極力削りました。色の数や人物の表情などは、今回意識的に簡素化しています。

メインは白と黒。差し色に青、オーカー。青やグレーは、いろんな色味のバリエーションを自由に試しました。

技法では、今回久しぶりにトライしたのが「コラージュ」です。

コラージュは、写真や文字など、異なるものをひとつの画面の中に貼り合わせる技法です。
学生の頃や初期の作品では結構コラージュを使っていたのですが、ここしばらくのコマーシャルなお仕事の中ではあまり試していませんでした。
あえて異質な画像を組み合わせることで、意外性や非現実性を表現することができますし、計画していなかった面白さに触発されて、制作の過程で絵がどんどん変わっていくのも魅力です。

デジタル上でもできますが、私は紙でやります。展覧会では原画をじかに見てもらえるので、紙やしわ、絵の具の厚みまで楽しんでもらいたい。というか、作る自分が楽しいのです(笑)

自分で建築物などを撮った写真、建築雑誌、産業革命時代に描かれた銅版画、活字などをモノクロコピーして、ぺたぺた貼っていきます。
始めはこんな感じ。

活字のテキストは、それぞれの絵のテーマになっている物語の日本語版と英語版を探し、気に入った箇所を打ち直してプリントしました。
今回取り上げたテキストは著作権の切れたものがほとんどですが、新たな著作権が発生する翻訳文では、なるべく短い単語をチョイスするように心掛けました。文字や写真を使う場合は、そのあたりが少し難しくなります。

絵の具だけだと甘くなりがちなファンタジックな世界に、写真や活字の現実味が突き刺さると、ちょっとクールな感じが。

ちなみに、上のコラージュにちょっと着彩を加えた状態がこちら。

最終的には、こうなります。

全然関連がわからないくらい、変わっちゃいましたね(笑)
途中経過も写真に撮っとけばよかった。。

この作品は、宮澤賢治の「真空溶媒」という詩をテーマにした連作です。
次回、画材の続きで紙の話をしたあとで、
この作品にフォーカスしてコメントしたいと思います!


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